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2007年6月22日

マトリックス2(リローディッド)

Photo_27 - 伝統的なドラマと新技術  -

マトリックス リローディッドは、前作からさらに映像の工夫が進んでいる感じがしましたが、ドラマ的には昔からのオーソドックスな展開を採用してあって、恋人のトリニティが危険にさらされることが予知夢の形で前ふりしてあり、そこを経て主演の二人の恋が盛り上がることを期待させていました。ドラマの中の各場面は、ドンパチとアチョーッの連続で、内容がないかのように思えますが、筋書きはいたって古典的だと感じました。

したがって、いちおう家族、恋人と見ても盛り上がる可能性の高い作品です。アクションは派手ですが、少なくとも主演の二人の恋は真面目に盛り上がります。

ストーリーははっきり言ってどうでも良いと思います。とにかくドンパチやって、恋人のトリニティが銃で撃たれてしまいますが、救世主ネオこと、アンダーソン君は異次元トビラを使う変なフランス人にやられて、別な現場で仕事しています。助けに行けるのか?という話でした。

そういえば、そもそもコンピューターと実社会が交錯する話は、マンガなどで繰り返し見たような気がします。ストーリー自体は、あまり突飛なものを採用せず、映像の凄さで話を盛り上げようと考えたように思います。この考えは正解でした。ドラマまで突飛だったら、一般の人には訳が分らなくなってしまいます。このシリーズは、そのへんは至って冷静です。

空中で落ちながらスローモーションで銃を撃ち合うというアイディアは見事でした。銃弾がゆっくり弾道を描きながら飛んでいくのは、マンガオタクだからこそ考え付いた映像のアイディアでしょう。以前にも弾がはっきり映った映画はありました。でも、それは決め手になる大事な一発に限られており、この作品ではその表現の仕方、銃弾の数に違いがありました。撃ちまくる多くの弾丸を見せたことで、スピード感を表現することができました。

さらに、高速道路でのカーチェイスは車が縦に転がり、立体的に展開するという、今までになかった映像でした。スローモーションを多用することと、実写とCG、銃撃と拳闘が順序良く織り交ぜられるアクションでしたので、いままでのあらゆる映画のカーチェイスより迫力がありました。今でも、これを超える作品はないように思います。

もし、この作品が50年前に公開されていたら、観客はどのような反応を示したでしょうか?もしかすると、CG合成の立体的な映像を観ることに慣れていなかったために、映像で表現したいことが伝わらなかったのではないかと思います。香港映画があったからクンフーの動作も理解できるようになりましたが、その予備知識がなければ打ち合いはダンスなの?と勘違いされたかもしれません。この作品を理解できるのは、その前のCG映画や、ゲームやマンガなどで、我々が徐々に映像の表現の決まり事を理解できるようになったからでしょう。我々の感覚も進化しつつあるのでしょう。

香港映画のワイヤーアクション、日本のアニメやゲームで登場人物が見せる仕草、必ず二挺拳銃で殴りこみに行かなければならない決まり事、ブルース リーの伝統を継ぐアチョーのクンフーアクション、そしてハリウッドのCG合成技術がうまく融合して、映像は格段に進化しました。

様々なキャラクターが登場しましたが、双子の白子のようなバケモノは存在感がありました。預言者が話すわけの分らない抽象的なセリフは、いかにも凄いような感覚にさせる、まさにSF映画的な演出でした。スター トレックでもセリフは結構難しいことを話していました。内容が分りやすいと話が軽く見られるからでしょう。ここでも、この作品は昔からのSFの伝統をちゃんと踏襲していたようです。

ラストでエージェント スミスが乗り移ったした男が、ネオと同じ船に乗り込んで、三作目でいきなり危機が訪れることが分ります。この前ふりも適切でした。テレビでこのように’続く’と出ると、「ウワー、やばい。」と、見ている我々を恐怖に陥れるやりかたです。「こりゃー、三作めも観ないわけにはいくまい。」と感じることでしょう。製作者の兄弟は、テレビの仕事をしていたのでしょうか?

しかし私が思うに、香港のカンフー映画でやられていた、「ハイッ、ハイッ。」と、打ち合う二人が息を合わせる組み手は、そろそろ時代遅れになりつつあります。むしろ、日本の空手映画やチャンバラ映画のような、現実に近い組み手のほうがリアルさの点から好まれると思います。もし新しい感覚のクンフー映画が登場したら、いままでの香港映画的な組み手は見てるだけでおかしくなってしまうでしょう。特に、この映画のキアヌ リーブスの動作は明らかにへっぴり腰で、すぐ笑われてしまいそうです。

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