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2007年6月 5日

ホテル ルワンダ

Photo_20 - 緊張感を維持した名作 -

楽しい映画ではないのですが、子供が観ても良いだろうと思います。ただし、殺人のシーンもありますので、小さい子には向かないかも知れません。

この作品の主演のドン チードルは、確かしばらくゲストでテレビの’ER’に出演していたような気がしますが、いい味出していました。刑事役で「ソード フィッシュ」でも見かけましたが、今回のホテルの現地人支配人役は特に見事な演技でした。肌の色も現地人とほとんど変わりないくらい黒くメーキャップした?のか、顔の造作も純粋なアフリカ人と変わりなく、それでいて現地人と違って演技に抑えが効いて、名演だと思いました。

ルワンダの首都にあるフランス系のホテルが舞台ですが、内戦が始まって民族浄化の戦闘が起こり、ホテルも巻き込まれます。武装勢力が入りにくいフランス企業の私有地めざして、主人公の友人や近隣の人達、子供達が逃げ込んできます。たちまちホテルはパンク状態です。 武装勢力は、客の引渡しを要求しますが、引き渡せば助かる可能性はありませんので、主人公は能力をフルに使って交渉をします。

ホテルの従業員にも主人公に反発するものも出て、職員の管理にも工夫が必要になります。周囲を占拠されていますから、物資の手配にも苦労が耐えません。自分自身も虐殺を逃れるために、神経を使わなければなりません。怒らせたら一巻の終わりです。

緊張の場面は、ホテルを脱出して国境に着くまで続きます。ちゃんと護衛の国連軍が付いてくれているのですが、この国連軍の軍人は、’48時間’の刑事役のニック ノルティじゃあ~りませんか!懐かしい。老けたね~。 で、国連軍より数で圧倒している武装勢力は、ともすれば皆殺ししようと、付きまといます。恐怖が観客にも充分伝わりました。

内戦の悲惨さが伝わりました。内戦では、外から見ても分らないくらいの微妙な民族の違いで、過激な戦闘が起こっています。映画のツチ族、フツ族の違いも、私達から見ればさっぱり分りません。でも、うらみやねたみが積もり積もれば、戦闘員、非戦闘員の区別もない、女子供も容赦しない虐殺になり、どんどんエスカレートしていきます。

イラクでフセインが支配していた頃は、民族で争うとフセインに皆殺しされるのでおとなしくしていたのに、イラク戦争後はアメリカがやってきたために紛争を起しているようですが、住民にとってはフセインのほうが確かにマシだったかも知れません。自由になっても、死んでしまったら何にもなりませんから。

この作品は、紛争の恐怖をよく表現していました。主人公が軍人のヒーローでなかったことが成功の秘訣かも知れません。シュワちゃんやブルース ウイリスが活躍しても、現実味がありませんもん。

描き方としては、最初にもう少し笑いがあったら、さらに心にしみる作品になったかもしれないと思います。 それと、川べりの道路で死体を見る場面は、演出に無理がありました。死体に気づかないような濃霧の中では、運転なんてできません。「人をひいた!」と、車を降りて、周囲の状況に気がつくというのが自然な演出だったのではないでしょうか。

写実的な殺人シーンが少なかったのは、良かった点だと思います。例えば、「戦場のピアニスト」の虐殺シーンは見事でしたが、さすがに後味が良くありませんでした。

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