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2007年6月 2日

チョコレート

Photo_28 - タイトルが最高! -

タイトルからして洒落ていました。原題は、あまり雰囲気の良い題ではなかったようですが、日本用の題は何か良いことが起こりそうな期待につながる感じがしました。

この物語は完全に悲劇でした。死刑執行の立会人と死刑囚の奥さんが中心の物語で、刑務官とその息子とは感情的になってしまったあげく、不幸な別れを迎えることになります。死刑囚は、奥さんにひどい思いをさせてしまったことをわびながら死んでいきますが、奥さんの状況は死刑執行後も悪くなっていくばかりです。

傷ついた二人が偶然知り合いますが、黒人と白人の間の長年の、歴史とでも言うべき感情的反発が根底にありますから、いろいろな障害が発生して、なかなかすんなりとは行きません。加えて、死刑を執行した張本人と残された奥さんという極端な取り合わせでは、心から信頼しあうのは難しいことです。この作品は、描き方が優れていましたが、人種差別を完璧に描くことなど本来、誰にもできないことでしょう。

この作品は子供には向きません。家族で見る映画でもないと思います。主人公二人のセックスシーンは結構長いので、子供にはちょっと勧められないでしょう。この場面は二人の結びつきを表現した良いシーンだったと思いますが、見る人によっては乱暴なだけに見えるかもしれません。また、偏見を持った主人公の父親の態度は、子供には逆の教育効果を生むかも知れません。

途中、娼婦が2度出てきますが、いくら時間がないと言っても、あまりに早すぎる仕事ぶりに驚きました。感情を伴わない関係であることを言いたかったにせよ、濡れる暇も立つ暇もないほどの、超速攻勝負で感動(?)しました。

主人公のソーントンは、奥さんが有名なので名前だけは知っていましたが、アルマゲドンに出ていたそうです。全然覚えていませんでした。この作品の冒頭では抑えの効いた演技で全然目立たず、好感も持てない演じ方をしていましたが、後半は表情も理解できるようになりました。演技者として上手いのかどうか、私にはよく分かりません。別な俳優が演じたほうが分りやすかったような気もします。若かった頃のイーストウッドがやりそうな役です。

いっぽうのハル ベリーは、最近はアクション映画でメジャーになりましたが、インタビュー記事によると黒人の父親と白人の母親の間で相当に不幸な少女時代を過ごしたそうです。不幸そうな表情がとても作品のテーマに合っていました。別な映画ではセクシーさを売りにしたりしていましたが、イメージとしてはこの映画が一番合っていたような気がします。

酔っ払ってソーントンと話すシーンはがありました。大事なシーンでしたが、このとき私は思いました。日本映画なら、気はいいけれど頭の悪い女が自分の不幸な過去をベラベラしゃべる、かわいそうで、かわいいという描き方をされそうな場面でしたが、あちらの映画は似てるようで少し趣が違うような気がしました。ハル ベリーが大泣きしていなかったことが違いの理由かも知れません。日本の女優なら、泣きながら思い出し笑いをすると思います。それで、いっそう魅力が増すと思うのです。

不肖、この私にも酔った女性から誘われた経験が何度かありますが、ハル ベリーはまだあの雰囲気は出ていませんでした。しかし、あちらの女性の酔い方は日本人とは違うのかも知れません。私には、ちょっと演技力?演出不足に思えました。

主人公の父親役と、ハル ベリーの息子役は素晴らしい演技でした。こちらに助演賞をあげたいくらいです。

主人公が店で決まって注文するのはチョコレートアイスでしたが、ラストでも二人で食べようかという話をします。チョコレートは混ざり合う肌の色もかけているのに違いありません。

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