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2007年6月13日

手紙

- エンタの神様は微笑まず   -

いい映画でした。原作はベストセラーでしたが、もともとは単純なアイディアによる作品と言えるように思います。でも、ストーリーと人物のキャラクターなどが高いレベルで構成されているように感じました。これを文章で表現するためには、相当な力量が必要だと思います。

殺人の罪を犯した兄と、それによって差別を受け続ける弟、そして弟の恋人の3人が話の中心でした。弟は漫才師を目指しながら工場などに勤務しますが、殺人者の兄弟という評判がついてまわり、職を転々とします。恋人ができますが、弟は彼女を巻き込みたくないので避けます。弟と兄との手紙、恋人の出す手紙などが彼らの運命に関わってきます。

家族で見てよい映画だと思います。殺人のシーンも、テレビのサスペンスものよりおとなしいくらいの表現でしたし、家族愛や殺人の意味の一端を理解する上でも悪くないと思います。もちろん、犯罪者の家族が不当に差別されてよいはずはありませんが、現実的には何らかの差別が発生するので、それを認識しておくのは必要かも知れません。愛情についても考えさせられる作品ですので、恋人と見るのもお勧めです。

タイトル通り、手紙が重要なポイントになっていました。まず、兄弟の間で交わされる近況報告の手紙、そして兄と決別することを伝える弟の手紙、さらに弟の職場に恋人が出す手紙、そして恋人が兄に出す手紙が非常に重みを持っていました。

私は手紙で何かが変ったという経験はありません。電話やメールが中心の世の中ですから、手紙は病院や患者さんくらいにしか出しませんし、あまりドラマチックな文章を書く能力もないので、人を動かさせることがないからでしょう。ラブレターも書いたことがありますが、返事がありませんでした。なんてこったい。

さて、ストーリーは素晴らしかったのですが、演技については私は今ひとつという印象を受けました。最大の理由は、漫才が面白くなかったからだと思います。漫才を扱った作品では、本職並みの勢い、迫力もしくは徹底したボケがないとシラけてしまいます。主演の俳優には、残念ながらセンスがないような気がしました。

いくつか原則があると思います。私は小学校の頃からクラスで漫談をしていた経験がありますが、基本的に漫才師は笑ってはいけないと思います。ツッコミは怖いくらいのほうが面白くなりますし、ボケ役は真面目にボケたほうが笑えます。例外的に、高齢の漫才師で芸に失敗して自嘲気味に笑ってしまって観客の受けが取れる場合もありますが、ほとんどの場合は真剣な顔をしないとダメです。

弟役は、もっとガラの悪そうな、軽い感じの俳優でも良かった気がします。自分の境遇に腹を立ててイライラした感じを出したら、観客はもっと同情できたのではないでしょうか?もっと隠れて泣くべきだと思いました。そして漫才はうるさいくらいに飛び跳ねて、勢いだけの芸でも良かった気がします。ボケ役ではなく、ツッコミ役のほうがしっくりしたはずです。

兄が最後の手を合わせるシーンは巧かったと思いますが、最初の暴行シーンで腰を抑えながらの動作は、実際に腰を痛めた人の動作ではありませんでした。ちょっと病院をのぞけば分ります。スタッフが研究不足だったと思います。

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