映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« ローマ帝国の滅亡 | トップページ | カリギュラ »

2007年6月29日

ドリーム・ガールズ(2006)

- 黒人映画の金字塔  -

これは素晴らしいミュージカルだわ!スター達が出演した理由も解るような気がします。

シュープリームスとモータウンレコードを題材にした作品でした。ダイアナ・ロスをイメージしたビヨンセ・ノウルズが主役だと思っていましたが、脇役のはずのエフィーのほうにも重点がおいて描かれていました。いい判断だったと思います。エフィー役はアカデミー助演賞を獲得しましたが、主演賞でも良かったほどだと思いました。

エディ・マーフィの役は、いわば汚れ役でした。よく彼が出演したものだと思います。今までの彼の映画は、ほとんどが彼中心のワンマン作品でしたが、この映画では得意の下品なギャグを使えませんし、不幸で惨めです。よほどの覚悟がないと出演できないでしょう。作品の意味に、出演した理由があったに違いありません。

白人がほとんど出演しないメジャー作品でした。黒人の力量、自信、誇りなどを、これほど表現できた作品はないと思います。エディ・マーフィが出演したことで、他の出演者の契約がまとまったという話も聞きました。彼は、この作品の意味を正確に理解していたのだと思います。

作品のアイディアがまず素晴らしいと思いました。シュープリームス(アメリカではスプリムスと発音するらしいです)は、ダイアナ・ロス中心のグループになって、おそらく内部で激しいいさかいもあったろうと想像されますが、それは皆が知っていることですので、それを描けばドラマにはなると思います。問題は描き方です。

ビヨンセ中心では、共感が得られるはずがありません。やはり、失望したエフィーにかなりの重心を持たせないといけません。そのへんの選択が適切だったことが成功の理由の一つでしょう。物語として奥行が出ました。エフィーが死んでしまっても暗くなりすぎていけません。復活で観客は喜びます。センスの良い筋書きでした。エフィーのモデルになった人は、確か急死していたと思います。

ただし、それだけでは不足です。音楽の良さも必要です。エフィーの歌は、ゴスペルの基礎を積んでいることを伺わせる、高いレベルにありました。曲も懐かしい曲調を基礎に、多少ラップなどの味付けをして、聴きやすくしてあり、今の若い人も楽しめそうなものでした。

残念ながら、エディ・マーフィの歌い方には、やはり本職の迫力が欠けていたような気がしました。ジェームズ・ブラウンばりのド迫力は要らないとしても、もっとソウルフルな歌い手は山ほどいたはずです。彼は、もしかすると本来ならミスキャストだったかも知れません。でも、彼のようなスターが出演することで作品の価値は高くなったようです。

踊りについては、音楽ほど力を注いでいない印象を受けましたが、これはビヨンセを始めとするタレント達がそつなくこなしていたようです。ビヨンセは本当に姿形が美しく、アイドルチックな踊りでも、シックなドレスの踊りでもサマになっています。本家のダイアナ・ロスは甘い声が魅力の基だと思いますが、ちょっと違う系統の魅力がいっぱいでした。

ジェイミー・フォックスは、歌が少ないので難しい役柄のはずです。一人だけ歌わないで芝居している感じがしました。ミュージカルで歌うチャンスが少ないなんて、普通なら印象が薄くなる役ですが、顔がきつい関係か、踏ん張って存在感がある役者ぶりでした。これこそ本当の演技力かもしれません。

エフィー役のジェニファー・ハドソンですが、今後どのような活躍をするかを考えると、厳しいものがあるような気がします。このような役をやってしまうと、イメージが出来上がってしまいます。ミュージカル映画自体が、そんなに頻繁に作られるものではありませんので、活躍の場は舞台しかないような気がします。エフィーのような境遇にならないとも限りません。

逆に、ビオンセは芸域を広めたような気がします。いい役でした。彼女の演技の実力は分りませんが、スターでありながら精神的に成長し、自分の間違いに気がつき、仲間を救おうとする、そのへんの変化をアップのビデオクリップの撮影法で強調してくれていましたから、実にオイシイ役でした。いいイメージで次の作品に望めます。次回作は「クレオパトラ」です。

いや、それは映画の中の話でした。私はすっかり洗脳されて、現実と映画の世界の区別がつかなくなったみたいです。とにかく彼女は今後しばらくはただニヤっと笑うだけでも、「やさしい微笑み」と観客が勝手に誤解してくれるような気がします。容色が衰えるまでは大丈夫です。ホント美人は得するのよね、ね~、エフィー!

« ローマ帝国の滅亡 | トップページ | カリギュラ »