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2007年5月 7日

ゴッド ファーザー3

- 拝啓 コッポラ様  -

あなたも、やきが回ったのか? もしくは、もともとこのような作品を作る監督だったのか? 私には、この作品の良さが分かりませんでした。コッポラは本来が演劇好きのマフィア青年のような脚本家で、演出向きではないのかも知れません。

パート1と2では、哀愁と暴力、スリルと叙情、愛情と恨みなどが織り込まれた歴史絵巻的な物語が展開されましたが、このパート3では趣きが違っていました。まるで、パート3は、パート1の雰囲気を真似ようとしているかのような変な感覚を覚えました。

アル パチーノがファミリーを合法的な会社にしようと考えているのは前作と同様でしたが、冷静さに欠けていました。ダンディなマフィアやイタリヤのボスが敵対してきますが、アメリカの有力なファミリーに挑戦するなら、もっと別な態度がありそうなものです。悪役の迫力が不足していました。この点は明らかに前2作と違う点でした。

新たなキャラクターであるアンディ ガルシアは、頭いいのか単純なのか、少し中途半端な感じがしました。彼を中心にするなら、もっと冷酷に描くべきではなかったかと思います。 自ら馬に乗って衆人の前に登場して人を殺すなんてバカな話です。いくらなんでも逮捕されてしまうでしょう。

枢機卿を殺そうと列車に乗って手下のアルベルト ネリが一人で行くというのも、普通では考えにくい話でした。綿密に行動を探って、時間をかけて準備するのではなく、行き当たりばったりに殺しに行くような描き方でした。たとえアンディ ガルシアの指示が、そんな風に行き当たりばったりであることを言いたかったとしても、普通はこんな簡単には描かないと思います。

イーライ ウォーラックは良い役でした。ずるくて、本来の敵役のしぶとさを持っていました。もともとのキャラクターとうまくマッチしていて、描き方も悪くなかったと思います。

敵役の殺し屋がいましたが、殺しの場面は途中まで凄腕で魅力的なキャラクターだったかも知れません。ただシチリア在住というのが少し無理な感じもしました。アメリカのボスに使われる殺し屋ですから、隠れるためにシチリアにいるなら解りますが、島に長く住んでいるようでした。息子もバカなのか腕利きなのか解りにくいキャラクターで、設定の練り方が足りなかったのではないかと思いました。

主演のアル パチーノは、衰えを表現したために魅力が薄くなったような気がします。主演の魅力をそいで作品の魅力が上がる可能性があるのでしょうか?体は衰えても、頭だけは明晰でないといけません。そのような設定でも何の問題もなかったのではないかと思いますが、製作者の意図を測りかねます。

アル パチーノが糖尿病性昏睡で倒れる場面がありました。普通は、いきなり倒れたりはしません。徐々に倦怠感やのどの渇きが強くなっていき苦しくなっていくはずです。稀にけいれんが先に来ることもありますが、普通の描き方でも良かったのではないかと思います。現実離れした演劇専用の演出では、客がしらけてしまいます。

これだけ様々な点で疑問がありましたので、私には魅力ある作品とは思えませんでした。演劇青年の作品としても、ちょっと練り方が理解できない感じがしました。そう言えば、黒澤監督の晩年の作品も一般人の感覚を越えていたような気がしますが、同じような現象でしょうか?

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