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2007年1月29日

アレキサンダー

- 偉大なる征服者像? -

ギリシアが衰退した時代、マケドニアの王子であるアレキサンダーは、王を心底嫌いヘビを使う怖い母親に育てられ、暗殺された父親に替わってマケドニア王になります。様々な部族をまとめて、彼は当時の欧州諸国の宿敵で世界帝国であるペルシアを倒そうと遠征を開始します。広大な地域を遠征し、大王と言われるようになりながら、長年の戦友を自分の猜疑心のために失い、ホモセクシャルの友人以外に心を開ける人もなく、心も体も傷つきます。

アレキサンダー大王は、欧米人にとっては源義経か織田信長のような存在でしょうか? 東洋の島国の田舎者とは感覚的に違うものがあると思いますが、アメリカ人なら誰でも教養として私達より深く彼の歴史的事実や余談を知っているはずです。

大王の記録をいくつか読んだことがありますが、常識人でないのは間違いないと思います。生まれも、育った境遇も普通ではありませんが、大王のものとして伝えられる言葉を読んでみても、おそらく性格的にもバランスの取れた人間ではなかったと推測します。この作品で描かれた性格と結構近いものがあったのかも知れません。そうでなければ、地図にも載っていないような場所まで遠征するはずがありません。

オリバー ストーン監督が訴えたかったものが、いまひとつ分りませんでした。戦いに明け暮れるアメリカを批判したかったのでしょうか? 妙な教育をした母親を非難したかったはずもなく、単なる歴史ドラマを正確に描きたかっただけでしょうか? とにかく強いメッセージが伝わってきませんでした。 矛盾に満ちてはいても、他に例のないアメリカという存在への愛情を訴えたかったのかも知れませんが、私の考えすぎでしょうか。

アンソニー ホプキンスが長々と語っていますから、そのセリフに何かポイントがありそうですが、私の理解力ではサッパリ分りませんでした。誰でもアメリカを連想するような話だったでしょうか? それとも観客が自由に解釈できるように、あえて曖昧にしたのでしょうか? セリフには問題なかったのでしょうか? 感動させるかどうかは、彼の話や、できれば彼の涙にかかっていたのではないかと考えますが、淡々と語っていたので我々に伝わるものが不足していたような気がします。

ギリシア、マケドニア、スペイン、イギリスなど、世界の覇権を争ってきた国々は、拡大する時にはいずれも熱情としか言いようのない狂った強い意欲を持っています。拡大する際の理由づけは、文明を広める、民主主義や宗教を教えるだの色々ありますが、侵略には違いありません。たまたま、ファランクスのような戦術や武器が優れたほうが勝って来たに過ぎません。

アメリカもそうでしょう。マケドニアと精神のレベルにおいては変わりないと思います。 単純な理屈にしたがって、国民が浮かされたように平気で戦争をしかけるのが両国の共通点です。でも、その熱情そのものが我々にとっては魅力に写ります。うまく彼の国のキャンペーンに乗せられているのでしょう。その魅力と国に対する愛情を訴えたかったならば、セリフを変えないといけません。

また、この作品は子供向きとは思えません。恋人向きでもないように思います。

コリン ファレルは、カリスマ性に欠けると感じました。もっと目に狂気が宿ったような役者が適役だと思います。 若い頃のメル ギブソンのような俳優のほうが良かったのではないでしょうか。

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