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2007年1月14日

七人の侍

- 娯楽作品として見るべし  -

この作品については様々な評論を読みました。芸術的な解釈をしようとしている文章が多かったような気がしますが、私はこの作品は娯楽を徹底的に追及することを最優先したのではないかと感じました。作った人達の話などはいっさい読んでいないので、断定はできませんが、常識的に考えてこのような筋の映画にテーマを盛り込もうとすると大抵失敗します。観客をシラけさせる可能性があることを大きな予算を使ってやれるのは、やはりバカか天狗でないと出来ませんが、この時点での製作者達は天狗にはなっていなかったと考えます。

ある山間の村落に騎馬武者達の集団が襲ってくることがわかりましたが、対策のために相談した結論は用心棒役の侍を雇って対抗させようというものでした。まず腕の立つ志村喬に目をつけ、彼の面接試験で次々と侍を集めることに成功します。一人、三船敏郎は態度はでかいけれど腕は不確かなようです。

志村の計画により村の防衛計画は進行しますが、途中で村人達との間の意思疎通に障害が出ます。大人数の意思を統一し、戦いにもっていくのは簡単なことではありません。お互いが理解し、クセに慣れないと信頼できません。

よく優秀なドクターが赴任してきた時に事故を起こすことがあります。皆がそのドクターの意図するところを理解できないと、指示が出ても意味が分らなくて行為の優先順位を逆にしてしまったりします。言葉だけで理解できるほど医療行為は簡単ではありませんので、表情、声の調子などを把握できないと成績があがりません。

さて、野武士達が襲ってきますが、農民達も意外に健闘し、次々と敵を退治していきます。味方にも相当の死者が出ますが、最後に泥まみれになった三船らの活躍でとうとう全員を倒します。最後の三船のおしりが印象的でした。何かの映画で、この三船のおしりがトラウマになった女が出ていましたが、それくらい見事でした。

騎馬姿の野武士が坂を下って襲ってくる場面の迫力は素晴らしいものでした。今のカラー作品、例えば「ラスト サムライ」などでは、同じような格好でもっと多くの騎馬が走っていましたが、演出方法、カメラの位置(おそらくケガしながら撮影してます)などの違いのためか、迫力はこの作品のほうが上だと思います。

もし野武士達が一気に全員押し寄せてきたら、入り乱れすぎて収拾がつかず、絵になりません。2~3騎ずつ処理して、さて次はと観客に期待させる設定は見事でした。ワクワクします。

登場人物達の面接試験は各々のキャラクターを際立たせる時には最高の手でした。「コーラス ライン」で一人一人自分を語らせる手口がありましたが、面接以外の方法で一人一人を描いていては時間が足りません。的確な筋書きでした。

ラストの志村のセリフには不満があります。せっかく侍中心に戦いを描いたのですから、「農民が勝利者だ」などと青臭いことを言う必要がありません。少なくとも断言させずにそうかも知れないくらいに流して欲しかったと思います。観客の爽快感を最優先すべきだったと思います。

残念ながら、この作品に子供が純粋にワクワクできた時代は去っているような気がします。少し色気がつき始めたら今でも面白い作品だと思いますが、小さな子供には少し惨忍なシーンもあると思います。恋人と見るのにも不向きかと考えます。面白いと感じた場合は引き込まれて相手の存在を忘れてしまう作品ですし、製作者達は独特の男女関係に関する感覚を持っているようですから、女性の中には気になる人がいると思います。

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