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2007年1月25日

天国と地獄

- 格差社会こそ地獄じゃ   -

三船敏郎演じる男は、会社の乗っ取りを計画しています。そのための資金を手に入れ、自分の考えで会社の運営をしようと野心マンマンです。

ところがそこに子供が誘拐されたという知らせが来ます。実際には子供のお友達が間違って誘拐されたのですが、結局は身代金のためにせっかくの資金を失い、職も失うハメになってしまいます。

犯人をあぶり出すために使われた煙に色を付ける工夫が、予算不足のためかカラーでなかったのは残念でした。公開当時の人は、どう思われたのでしょうか?雑な手際で、ボールペンか何かで赤い色をつけてありましたが、あんまりだと思いました。もしかすると今はCGで処理されているのでしょうか?

ギョロメの仲代達也の刑事達が犯人を追いますが、なかなかの知能犯で、簡単にはつかまりません。金の引渡しの手口などは見事に計画されていました。確か、当時は同じ手口を真似た犯罪が起こったと聞いています。

犯人は三船に個人的うらみを持っていたわけではなく、ただ自分の暮らしが劣悪で、それに比べて天国のような所で暮らしているのが恨めしかっただけの犯行のようです。

今の日本は、昔より収入の格差が広がって格差社会にすすむ傾向があります。努力しても生活が豊かになることはないと分った人に中には、無茶な犯罪に走る人が増えてくるかもしれません。

私も現在は収入がほとんどない借金生活ですが、今後努力しても状況が改善しないと分れば、絶望してパチンコ屋か何かに強盗をしに行くかもしれません。そこそこ勉強して、良心的に働いて、特に大きな失敗をしたわけでないのに一生貧乏となれば、やつ当たり犯罪をしたくなる気持ちも分ります。

努力したら、それに見合った収入があって、つつましくても将来の子供の成長を楽しみに過ごせる社会が理想だと思います。大企業が空前の高収益を記録しても、その成功が何かフェアでない競争によっている場合は悪い影響が社会心理に及ぶと思います。

フェアであることより、既得権を保護することに偏った法律が多いと思います。何か改革しようと思っても、違法になってしまうか、法律では問題なくても官僚が許可しないという変な伝統があります。郵政民営化法案を読んでみると、大したことは書いてありません。「郵政を民営化する。以上、終わり。」という内容です。実際は、官僚の胸先三寸になります。

また、効率より平等を優先しすぎたために、無駄な事務作業が増えるばかりの構造もあります。介護保険制度がその典型ですが、保険料が実際の介護者だけでなく、事務作業をする人間の人件費で消えていきます。

予算配分などが、ドンズマリ感を感じさせるために誰も希望を持てないことが、今の社会の問題点だと思います。ちょっと無茶でも思い切った政策めいたことを言っただけで小泉首相に人気が集まりましたが、要するにドンズマリ感が嫌だっただけだと思います。

この映画の公開当時の医学生は、おそらくインターン制度か、もしくはその前の時代で、無給だったはずです。私の研修時代は随分と待遇が良くなっていましたが、それでも給料袋を開けると、チャリーンとコインが入っているばかりだった時には愕然としました。今でも本業のクリニックはボランティアに近い状態です。でも、これが本来の医者の姿だろうと思います。

外車を乗り回してゴルフ三昧する医者は少なくなりましたが、私の実感としては、ほとんどの医者は読むべき本があふれかえっているはずなので、仮に金ができても本来なら勉強に追われて遊べないはずだと思います。のんきに映画のブログを書いてるなんて、よほど暇な医者で、信用してはなりません、って誰のこと?

そのうち、フリーターのワーキング プアが主演の銀行強盗犯のヒーロー物語が封切りになるかもしれません。市民の圧倒的支持を得たりして。

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