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2007年1月18日

転校生

- 相手に気づかい思いやる心  -

尾道という街は、古来より映画制作のために作られた巨大セットであるという噂があります。ちょうどサンフランシスコがカーチェイスのために計画され、ニュージーランドが人類と怪物との戦いを撮影するために存在するのと同様に、青春胸キュン映画のために町民をあつめたのではないかと分析されています。もちろん、それだけでは喰っていけないので、普段はアルバイトとして一般の日本人をまねた生活を営んでいるという伝説です。

そこで製作された映画は、一般の日本人なら誰でも、子供でも大人でも、家族でも恋人でも、なぜか懐かしくなるように巧妙に仕組まれています。坂の傾斜の角度や神社の鳥居の古さに至るまで、技術さんたちの神経が行き届いていますから、我々の懐古の中枢を刺激されてしまいます。外部の人間には分りづらいのですが、勝手に家々を建てているわけではなく、計画的に並べてあるのです。

その町で、人格の交換という、これまたよく飽きないなと感心するほど頻繁に使われる設定ですが、それによって巻き起こるドラマが描かれています。人格や性別について考える時に最も手っ取り早く違いを際立たせる効果があるので、仕方ありません。尾道町民のエキストラの皆さんにも失礼ですから、我慢してください。とにかく、転校してきた男の子と女の子が神社の坂道から転がり落ちたら、なぜか人格が交換されてしまいました。それまではケンカしても平気でしたが、自分がひどい目に会うと当然ほっておけませんから、相手を大事にしたいという気持ちが自然に湧いてきます。

主演の小林聡美の演技が光っていました。この映画は、無表情を中心とした彼女のスタイルで演じられる役柄ではないのでオーバーアクションもありますが、おそらく彼女のセンスのためか、やり過ぎない程度に演出家達を指導しているようですので、同じ演出家の他の作品よりもほほえましい程度の騒ぎ方に止まっているような気すらします。

後年、彼女はテレビの「やっぱり猫が好き」などでも、中性的で自然体の役柄を演じていましたが、見かけが女らしくないので役柄に合っていました。最近は家庭に入ってらっしゃるためか出演している作品を知りませんが、子育てが一段落したら、また活躍してくれることを願っています。

彼女が自分を気づかうことが、友情や愛情へとつながっていく様子が私達にも良く分りました。気づかいや思いやりが、男女を問わず人間関係の基本であることを学びました。私の奥さんにも、この点をぜひ理解していただきたいものです。

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