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2007年1月19日

異人たちとの夏

- 鶴太郎につきる  -

仕事と家庭に疲れた主人公は、ふとしたことから自分が育った少年時代にタイムスリップします。まだ若かった両親が現われ、自分のことをしきりに心配してくれます。主人公は美しい隣人と知り合い、恋が芽生えますが、相手の女性には何かいわくがありそうです。

最初、この作品に片岡鶴太郎が出演するという話を聞いた時は、きっとつまんない作品だろうなと思いましたが、実際に見たところ、鶴太郎以外の俳優がつまんないように思えるほど印象深い演技でした。テレビの「ひょうきん族」などでは、ビートたけしの腰ぎんちゃくのような、くだらない、あまり面白くもない芸を見せられて、今日の芸術家ぶりは想像もできなかったのですが、この作品のように役者としても存在感を示せることに驚きました。

演技がうまいとは言えないのかも知れません。クサイせりふのはき方が、当時の若い父親の気取った話し方に通じるものがあるだけなのかも知れません。どうして鶴太郎をキャスティングしようと考えたのか私には分かりませんが、結果は大成功だったと思います。

この作品は、家族で見てよいと思います。子供達は、おそらくSFの一種として見るだろうと思いますが、そんなに退屈はしないのではないでしょうか?大人は、脱落寸前のサラリーマンの物語としても、懐かしい子供の頃の思い出の再現としても見る価値を感じるだろうと思います。

昭和30年くらいの下町が出てくる場面は、「三丁目の夕日」もそうですが、セピア色に彩られた、郷愁を感じさせる雰囲気があります。私が子供の頃、まだ若かった両親と郷土のデパート’鶴屋’の食堂に入って、食券というものを手にして料理を待つ時の気持ちがよみがえりました。

風間杜夫は芸達者な俳優ですが、この作品の役どころでは、鶴太郎や秋吉久美子の存在感に及びません。それで良いと思います。子供はしょせん頼り気のない存在なのですから。その辺のことを、スタッフもきっと分っていたのだと思います。

タイトルがどうして「異人~」なのか分りませんでした。独特の考えがあって付けたのでしょうが、良かったのかどうか、私には分かりません。

名取裕子が空中に浮かび上がるシーンがありましたが、私には少し工夫が足りなかったように見えました。このシーンは、時間的に短いほうが印象が際立ったのではないでしょうか?主人公に優しく接し、しつこく誘い、ゆっくりと怖さが感じられるような手順は踏んでありましたが、あまり長時間浮かんでいると特撮のアラが見えてしまうので、せいぜい十秒間くらいに止めるべきだったと思います。そして一箇所で浮かんでいては芸がないとも思いました。

風間杜夫の死相を表すメーキャップは少々オーバーでした。もう少し軽めが良かったのではないでしょうか。この映画に限らず、かってのモノクロ時代の名残か、私が経験する本物の死人達と比べて、映画の死相はメーキャップをやりすぎていることが多いと思います。観客は役者の顔に注目していますから、微妙な変化でも充分だと思います。ちゃんとカメラを見て、光量なども計算に入れて、自然が良い時はやりすぎないよう、何か表現したいときは強く、使い分けが必要だと思います。もしかして業界の人間関係の維持のために、メーキャップ係の顔色をうかがっていたのでしょうか?

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