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2007年1月 9日

荒馬と女

- 文芸に意味が? -

主演 クラーク ゲーブル、マリリン モンロー

この映画は、大スターの遺作になったことから有名ですが、作品自体は文芸調で、娯楽よりもインテリうけをねらった映画だと思います。この内容では大ヒットは望めないような気がしますが、映画自体のデキは良いと思いました。

子供が見てもしょうがない作品だと思います。テーマは男と女、生き方、価値観の違いなどのようです。重々しいタッチの描き方はしていないので、大人ならば一応見て楽しめる部分もあると思いますが、恋人といっしょに見るのが良いとは思いません。家族で見る作品としても、お勧めできないと思います。じゃあ、誰が見るんだ? やはり、スターのファンか、本当の映画好きでしょうか?

離婚のために立ち寄った町で、マリリン モンローはゲーブル達と仲間になります。ゲーブルはカウボーイの成れの果てみたいな人間で、かっこいいのですが、子供たちとはうまくいってないようです。モンゴメリー クリフトは、母親の再婚をきっかけに心に傷をおっているようで、自暴自棄な行動をとっています。やがて、彼女は新しい人生を歩もうということになりますが、ロデオの場面や野生馬を捕まえる場面などで、お互いの生き方がぶつかり合い、心がフィットしない状態になります。

当然でしょう。やさしさだけでは生活できませんし、皆がモンローを欲しがれば、当然あぶれた男は本性を現して仲良くしてばかりもいられなくなると思います。この辺のやりとりは描写が自然だったと思います。でも、見ていて楽しい気持ちにはなれませんでした。

荒馬ではなくて、かわいそうな野生馬(野生化した、もと家畜だと思いますが)を生け捕るシーンは興味深く拝見しました。タイヤをつけた投げ縄で捕まえるとは、誰が考えたか知りませんが、良いアイディアです。馬としては、たまったものじゃないでしょうが。ワンシーンとしては、非常に迫力があって誰でも楽しめる程の魅力あるシーンではないので、この映画自体が迫力に欠けると言えるかもしれません。

ロデオの場面も、あまり近接で撮影していませんでしたので、特に迫力を出そうと考えて撮ってはいなかったようです。モンローがモンゴメリー クリフトの怪我を心配することの表現を優先していたのかも知れません。私としては、誰かが血だらけで運ばれるシーンをはさむなどして、怖さを出したら良かったのではないかとも思いましたが、文芸作品には必要ないとも言えます。

クラーク ゲーブルの演技は、やたら上手かったと思います。大スターですが、私は「風とともに去りぬ」でしか彼を見ていませんでしたので、作ったような笑い顔が気になる、現実感のないスーパーヒーローのような印象しかありませんでした。でも、この作品では細かい表情や酔っ払った演技などを初めて見て、味のある演技だと思いました。モンゴメリー クリフトが頭を打っておかしくなる演技も悪くないと思いました。ちょっと頭が良くないけれど、人が良い青年のような話し方、表情がちょっと過剰表現だったかもしれませんが、上手かったと思います。

モンローの役は、やさしさと無邪気さにあふれた美しい女という設定で、彼女の夫が脚本を書いたくらいですから、もしかすると彼女の実像に近いものがあったのかも知れません。そう思えるほど、役にハマッていたと感じました。彼女の本当の演技力は私には分りませんが、自然さを重視しているように感じました。彼女はデビュー以来、一貫して大仰な演技は避けていたような気もします。大仰な舞台劇のような演技を名演と感じてしまいがちですが、彼女の世代は自然さを重視する俳優が多かったようです。

こう来ると、うまい俳優が名演技をして、文芸調のシナリオでやってるわけですから、よい作品ということになりそうですが、私は2回見たいとは思いませんでした。少し皆が名演をやりすぎて、芸術かぶれをしてしまったからかも知れません。思い切りおバカな作品か、涙なしでは見れない大作でないと、なかなか印象には残らないと思います。

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