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2006年11月21日

誰が為に鐘は鳴る

- 戦意高揚映画 -

主演 ゲーリー クーパー、イングリッド バーグマン

この映画は、いまひとつ評価が分かれているようです。子供や恋人と見ても悪くないと思いますが、そもそも製作が1943年で、戦時の意識高揚をねらっっているような感じですので、感覚的についていけない人もいるかも知れません。

戦争中のハリウッドの意識がどのようなものだったのか分りませんが、日本の大本営ほどではないとしても、勇ましさを強調することや民主主義の良さをテーマにするような圧力がかかっていたのではないかと推測します。そのため作り方が少々雑にならざるをえなかった面は感じます。

この作品のスチール写真を見たことがありますが、バーグマンは当時28歳くらいで非常に若々しく、アイドルのような表情をして写っていました。アップの場面でピチピチした感じが少し分ります。この役は彼女が非常に望んで、ヘミングウェイに会見したり種々の工作をしたにもかかわらず断られ、別な女優で撮影開始されたのだそうです。結局は途中で役を取れたようですが。

脇役のレジスタンスのボス役の俳優が、この作品では最も魅力的でした。原作では若い頃は闘牛士だったと話す場面が書いてありましたが、太りすぎてイメージが湧かない点はあるものの、ほとんど悪役スレスレの雰囲気はよく出ていたと思います。このボスがうらぎるかどうか分らないことで観客が緊張する効果があったと考えます。

ラスト近くは戦闘の場面が続きますが、最近の映画と比べるとチャチな感じはします。今の作品は、おそらく音がドルビーサラウンドの効果か?振動がすごく表現できるので、例えば戦車が来るような時には徐々に振動を強くできますので、それだけでも緊張感が亢まります。カメラワークも、今なら超アップにしたりができますのが、この作品の戦車はオモチャ程度に思えてきます。でも後半に緊張する場面が来るように、話を徐々に盛り上げる手順はちゃんと踏んでいて、その点はうまくできていると思います。

ラストの終わり方は原作に従っているようですが、原作に忠実に従うとゲーリー クーパーの独り言で表現せざるをえないので、好みが分かれるかも知れません。独り言で終わる映画は他にもありますが、最近は映像では景色などを写し、言葉はナレーションにする作品が圧倒的に多いように思います。この点で、この映画は変わっています。戦時だったことも影響しているのかも知れません。要するに「銃をぶっぱなせ!」という感じが、軍部には受けるからです。私は原作に忠実な分、この終わり方で良かったと思います。

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