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2006年11月15日

地下水道

- 脚本と演出の力 -

監督 アンジェイ ワイダ

この作品は、ビデオ屋さんでもなかなか探せません。取り寄せないと難しいかもしれません。学生時代に暇でブラブラしていて、どこかの名画座がワイダ作品を特集した時に偶然見たのですが、ブッたまげました。こんな題材で映画を作って、しかも観客の緊張感を保たせることができるなんて凄いことです。今見ると、おそらく画質も劣化しているはずで、さすがに引き込まれる人は少ないでしょうが、劇としてのコンセプトには多くの人が感心するだろうと思います。

この映画は実話に基づいているそうです。ワルシャワ蜂起で独立を果たそうとした市民達がドイツ軍に蹴散らされて、地下水道に逃げ込み追撃を逃れようとする物語です。あら筋はそれだけなのですが、その筋に登場人物達の性格や、お互いの会話、いがみ合いなどが織り込まれており、それに時々ドイツ軍の音が挿入されるため緊張感が持続できているようです。とんでもない状況に追い込まれた人間のドラマとして、うまくできていると感心します。

悪いシチュエーションから脱出を図る話は、たくさんあります。LOSTシリーズのような最近の作品も、とんでもない状況を設定して、それに対して人々がどう対応するかでドラマを盛り上げていますが、この作品はトンネルの中という単調な状況ですから、さすがにワクワクドキドキとはいきません。まさか怪獣を登場させることもできませんので、仕方ないでしょう。それでも、訴えかけるだけの脚本、演出は見事だと思いました。

世間がもう少し物騒になってきたら、この作品はまた評価が上がるかもしれませんが、今の若い人に見せても映画や演劇オタクでないかぎり退屈するだけではないかと思います。子供にも、恋人にも見せない方が良いかもしれません。今後、地下道の中を逃げ回るような事態が起こらなければ良いと願いますが。

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