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2006年11月17日

ザ ファーム

- 長時間緊張感ただよう -

監督 シドニー ルメット 主演 またトム クルーズ

この作品は子供や恋人といっしょに見て良いと思いますが、静かな恐怖が全体を覆い、しかも長いので、さすがに子供は退屈すると思います。殺人のシーンは意外に少なくて二ヶ所だけでしたし、非常に残忍とは言えない表現でした。不倫のシーンもありますが、表現はマイルドでした。

原作がベストセラーだそうです。確かに、この作品の良い点は原作の魅力に負うところが多いように思います。苦労してロースクールを卒業するトム クルーズは、破格の待遇の法律事務所に勤務することになります。その事務所は、家庭的で待遇も信じられないほど良いのですが、トム弁護士はふとしたことから事務所に疑惑を抱くようになります。話が進むにつれて、事務所が組織ぐるみで不正をしているのではないか? 自分はすでにワナにはまっているのか? それともこれからワナが用意されているのか? 身の安全は? 妻と自分の愛情は保てるのか? 誰が味方で、誰が敵なのか? たくさんの問題が主人公を襲います。

組織がしかけるワナ、守ってくれるはずのFBIの怖さ、抜け出す糸口さえないような状況の設定が見事でした。脇役達が素晴らしい演技をしていました。彼らの怖さがなければ、話が軽くなってしまいます。全体の静かな雰囲気、豪華なセット、そして分るにつれて強くなる恐怖が、上質のエンターテイメントってやつでした。

ただ、私には話が長すぎて、いくつか削っても良い話があったように思えました。この作品は超大作ではないので、上映時間は2時間以内が原則だと思います。編集に問題ありです。また、組織の殺し屋は簡単にやられすぎだとも思いました。もっと映画用に脚色してでも、現実的な演出に徹するべきだったと思います。基本的にトム弁護士は肉体派ではないので逃げることに専念すべきで、殺し屋がやられる必要はないと思います。

複雑な問題をプロットした原案には脱帽します。最初のアイディアは、不正請求に対する変な法律から出たのかも知れません。1件1件の罰則は小さくても、積もり積もれば数百年の禁固刑という、おバカな法律がアイディアを刺激したのかも知れません。弁護士が登場する他の作品でも、米国の法律の欠陥をうまく使った話がよくあります。軽く思える犯罪でも、刑罰だけは激しいことが珍しくないようです。

トム クルーズはまだ若く、独特の必死の表情がこの役のイメージには合っていたと思いますが、ベストの配役だったかは分りません。緊張感はよく出ていました。推測ですが、この頃の彼はスターではあっても、まだ監督や他の役者ほどの実績はありませんでしたから、あまり自分の意見を強く通せなかったのではないでしょうか? それが、この作品の成功につながっているかも知れません。大スターになって自分の意見が通りだすと、気がつけば抜き差しならない、ちょうど「ザ ファーム」のようなことにならなければ良いのですが。

もうなってる?

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