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2006年11月 8日

たそがれ清兵衛

- 人の生きがいって何だべ? -

監督 山田洋次 主演 真田広之

この映画は、講演会の待ち時間に有楽町の映画館で見たのですが、冒頭は暗いだけの映画かなと思いましたが、徐々に引き込まれてしまいました。殺人のシーンはありますが、猟奇的ではありませんので子供が見ても良いと思います。恋人と観ることは良いかどうか、私には分りません。親子の愛とともに、男女の愛をテーマにしていますから、たいていのカップルでは良い効果をもたらすはずだと思いますが、描き方が少し暗いので、「バカみたい。」「主人公は臭そう。」という印象が先に来る人もいるかもしれません。お相手が、メロドラマで簡単に泣くような人なら、おそらくOKだと思います。

主人公は下級武士で、仕事は倉庫管理人です。日々の事務作業を黙々とこなし、家に帰れば内職の手仕事や、農作業に明け暮れる日々です。理由があって経済的に困窮していますので、同僚からの誘いに乗らずに夕刻に帰ることから、アダ名をつけられてバカにされています。友人の妹と再会し恋心がよみがえりますが、経済的なことを考えると告白などは考えられません。そんな中で、主人公はお家騒動に巻き込まれ、決闘をさせられます。人の良い主人公は、決闘の場で話し込んで相手に同情してしまいます。主人公が油断を見せた瞬間に相手の目がギラリと光り、さて生きて帰れるや、という話です。

昔の農村の風景、囲炉裏端の会話などが美しく描かれていました。全体のほとんどの場面は静かな日常の場面で、その中にリアルで見ようによっては鮮やかでない殺陣のシーンが入ります。このリアルさが作品の質を高めていると思います。鮮やかでは現実味に欠けてしまいますから。

娘達に主人公が聞かれます。「学問をしてもお金にならないけど、学問はどんなことに役立つの?」 これに対する主人公の答が素晴らしいと思いました。

藤沢周平の原作は短編で、この作品はアイディアだけを借りてきたかっこうですが、よくまとめてあると思います。真田広之は役者バカではないかと推測しますが、この映画でも見事に演じていると思います。いっぽうの宮沢りえは激ヤセしたまま回復してきませんが、それがこの作品には良く合ってました。でも、もっとうまく演じられる女優さんも多いのではないかと感じました。

山田監督が時代劇を撮ったのに驚きましたが、その出来栄えには、さらに驚きました。名作だと思います。

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