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2006年10月 7日

恋に落ちたシェークスピア(1998)

主演 グウィネス・パルトロウなど

本当によくできた映画だった。アカデミー賞に相当するアイディアに満ちた話。その着想で、ほぼ全ての成功が決定づけされていたと思う。

この作品は大人向きだ。意味が分りにくいので子供には向かないはず。文学少女なら大泣きするかも知れないが、基本は大人の物語だろう。恋人と見るのも、おそらく悪い結果にはつながらないないだろう。ヒヤリング力が足りない私達には本来のセリフの意味や韻の踏み方が分らないが、和訳でも雰囲気だけは分かるから、きっとカップルの気分にも良い影響があると思う。不倫関係の2人なら、共感して涙してしまうだろう。

悲恋物語であると、最初の段階で分かってしまう。歴史的事実はあるから、恋は成就しないだろうと直ぐに分かる。悲恋物語は、恋敵や無慈悲な規則が強力に二人を邪魔し、ふたりが激しく苦しむほど共感を生む。障害がいかに大きいか、ふたりがいかに苦しみ悩み、そして時には至福の気持ちを味わえること、それが大事な話の要素になる。それらの点は、この作品では全て網羅されている。

シェークスピアの作品と、彼の恋愛を絡めるというアイディアに脱帽。シェークスピアの話だと、彼の作品のセリフが使われるのは当然だから、舞台の格が自然と上がる効果が生まれる。さらに、この作品は初演の劇が上手く興業できるのか、失敗しないかという緊迫感も感じられるように設定されている。古典的で格調高い部分、悲恋に終わると分かっている関係、邪魔が入って劇が成り立たないのではという緊迫感、そこに物語が成立すると、誰かが気づいたんだろう。

いやはや、そのアイディアにまず脱帽だ。そして、そのアイディアを作品として現実化できたシステムに再度脱帽。日本でも同じようなアイディアは、おそらくしょっちゅう出ているはず。でも、このような形では作品化できていない。ワンマン監督がゴリ押しで作品を作ったり、スタッフをそろえたスタジオが特異なアニメを作ることはあっても、このようなアイディア中心の単純な形では実現されていない。何かが違う。

何かの違いは、皆が気づいている。閉塞感が漂っていることを敏感な人達から先に感じ取って、問題提起はされつつある。ただ、それが主流になるには至っていない。アイディア潰しが仕事のような人も多い。徐々に、斬新かつ適切なアイディアが実現化され、認識が変わっていくことを祈るしかない。

主演の2人は、うまいのか下手くそなのか、私には分からない。グウィネス・パルトロウは非常に美しい女優だが、今回の役がとびきり魅力的かというと、私にはピンと来ない。スターをイメージできる魅力は感じなかった。その後の彼女に注目していたが、どんどんメジャー作品に主演する女優ではなくなっている。どちらかというと脇役に落ち着きつつあるようだ。そもそも、この役は冒険する役だから、もっと気の強そうな俳優が合っていたと思う。

脇役達も、不必要に目立ったりする人がいて、バランスに欠けていたかも知れない。でも、企画全体としては、ただ脱帽の作品。アイディアに感動した。(2017.05.27改編)

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