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2006年10月 8日

オリバー・ツイスト(2005)

監督 ロマン ポランスキー 

ディケンズの原作小説の映画化作品。過去に繰り返し、何度も映画化されている。どうして繰り返されるのか、それほど良い題材なのか、劇場主には理解できない。

このポランスキー版は家族で見てもいい内容だと思うが、家族団欒、軽く楽しめる映画ではないようだ。子供を観客の対象に考えていた様子は見られない。爆笑するシーンがないのはもとより、涙を流すタイミングを見つけるのも難しい。でも、重みを感じさせる不思議な作品。ジョークのシーンはあるから少しは笑えるが、長い時間は続かない。恋人といっしょに見てもよいだろうが、見た後にどんな話をすれば良いのか劇場主には分らない。話題を変えないといけないような気がする。それくらいなら、やはり恋人とは普通のTVドラマのほうが無難だろう。 

この作品はディケンズの原作に近い形で作られているらしい(読んだことがないので分からないが)。かってのイギリスを舞台にしているはずだが、なぜかイギリスのような感じがしない。監督のせいか、どう見ても東欧の国が舞台のような雰囲気。この監督は私達とは比較にならないひどい経験をしているはずだから、とかく作品の雰囲気は重くなりがちだが、この作品も超重量級だ。主人公のオリバー少年がイジメられ、だまされ、おびえる姿が延々と続く。その中で思いやってくれる人々がわずかにいることが救いではあるが・・・

この監督は、うつ病ではないのかな?と思う。考えてみれば、ゲットーで育ち、母を収容所で殺され、父と離ればなれになり、恋人は死に、スキャンダルで国外逃避をすれば、おかしくならない方がおかしいかも知れない。その経歴も、一種の個性と言えるだろうが・・・    

悪役を演じるベン・キングズレーが、いつもながらの熱演。今回は独特の眼力を細い目に隠しているが、時折するどく光らせていて効果的。この悪役じいさんが本当の主役。「ガンジー」に出演の頃は、印象が強烈すぎて今後も聖人の役しかできないのではと思ったが、その後のキャリアでは悪役もさまになっている。考えてみれば両方とも迫力が必要なことだけは共通している。主演の少年も悲しそうな表情が印象的ですが、これまた東欧の少年に見えるのは私だけか? 

68年のイギリス版は、懐かしいマーク・レスター君が主役だった。可愛らしくて、酷い目に遭うと魅力が輝く、不思議な個性の子役で、はまり役だった。この2005年版の少年も存在感はあったし、役柄に合致はしていたが、マーク・レスター版より話がより暗くなったのは、監督の違いもあるし、子役自身のせいかも知れない。レスター少年は希有の存在だった。

セットだけでも相当なお金をかけているはずだから、観る価値はある。街をひとつ作ったんじゃないの?と、言いたくなるほど。でも、その労力、多大なる投資の結果、はたして観客はこの作品を高く評価するだろうか?ヘビー級の、重く深い作品だが、納得するだろうか?(2017.05.30改編)

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