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2006年10月10日

第三の男(1949)

監督 キャロル リード 

古い映画だが、今でも時々思い出す印象深い作品。有名な作品で、映画評もされつくした感がある。

子供や恋人と見ても良い作品だったと思う。でも、さすがに映像が古くなりすぎ、実際の鑑賞は無理だろう。もし観てくれても、はたして楽しめるかどうかは保障できない。戦後間もないころの白黒映画で画面が暗くて少々見にくく、音もこもっている。描き方も重く暗く、テンポもゆっくりで、演技もサイレント時代の生き残りや舞台俳優がやっているような大仰な部分があり、今風の作品では全くない。古典になってしまった印象。

ストーリーが非常に良かった。犯罪者がアメリカからやってきて暗躍しているという設定は、実際の事例もあったのではないかと思う。戦後の混乱ではモラルが失われて、犯罪も酷いものになりやすい。日本の戦後にも、無法者が活躍した時期があった。今の半グレに近い性格で、無茶が目立っていたようだ。いかにも実際に起こりそうな設定は、作品の魅力を増す。

名場面がたくさんある。犯人の登場を待つ夜の町並みに風船売りの影が長くうごめくシーンは、緊張と拍子抜けの演出が素晴らしい。主人公と対峙した友人が観覧車で言うセリフ。誰が考えついたのだろうか、学のあるセンスの良い犯罪者がいかにも言いそうな理屈だ。

緊迫感と独特の暗い色彩、当時のウイーンの風景、セリフやアントン・カラスのチターなどがしゃれていて、高い評価を受けたこともうなずける。戦争に伴う悲劇を描いているから反戦映画とも言えるだろうが、その表現の仕方が見事で、ここまで重みを出せた作品はそうないなと思う。

その名作に大胆にも苦言を呈するとしたら、やはりテンポだろうか。さすがに話が長いような気がする。ラストの広大なセットでの別れのシーンは必要だとしても、途中は少し短くできるシーンがありそうだ。劇場主がせわしなく落ち着きがないからそう思うだけなのか?

おそらく、今の若い人達もきっとそう感じると思う。編集スタイルも今風ではないような気がする。画面の切り替えの仕方が、観客の視点の切り替えを考えずにされているようだ。今は技術が進んで、観客の思考するスピード、通常予測される視点の動きなどを考えて、コンピューターの画面を見ながら編集されているはず。古い映画は、当時の編集者の独断的センスによって編集されていたはずで、その限界はあったはず。(2017.06.11改編)

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