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2006年10月 8日

フィールド・オブ・ドリームス(1989)

主演 ケビン・コスナー

すばらしい映画だった。その余韻が心地よい。大がかりな宣伝で一気に話題になる映画ではなかったはずだが、心に残る作品だった。もう古い作品になってしったのだが、その価値はまだ色あせていないと思う。子供時代にこの作品を観たら、どんな感想になるのだろうか?おそらく大人とは真逆の反応になるのかも知れない。子供も、子供なりに興味は持ってくれるかも知れないが、おそらくCGを使った不思議な現象の表現のほうに、まず注意はいってしまうだろう。

少し「間」がある作品。全体の意味への興味が薄い人には、そのテンポが耐えがたいかも知れない。客観的に見れば、やはり展開が遅すぎるシーンも多い。そんなシーンで退屈してしまったら、テーマなど吹き飛んでしまい、ただ退屈な作品というイメージしか残らないだろう。名作でさえ、観客の興味を引き続ける工夫は必要と思う。だから、この名作も万人が感動できるとは限らない。

恋人といっしょに鑑賞するには、たぶん悪い作品じゃないと思う。基本が温かい心情に基づく映画だし、家族愛がテーマになっているから、ふたりの雰囲気に悪影響はないはず。テンポは問題で、うわついた慌て者カップルは、リモコンをいじって話を飛ばしすぎて内容が理解できないかも知れない。時間に余裕を持って、くつろいだ時に見ると良い作品だろう。

野球をやらない国での評価はどうだろうか?独特の野球への感覚が、作品の雰囲気に関係しているはずだから、とらえ方は全く違ってくるだろう。何を気にしているのか、何に対して感傷的になっているのか、最後まで理解できない人達もきっと多いかも知れない。野球はただの遊び、スポーツだが、文化、心の部分に知らない間に大きな影響を及ぼしていたんだと認識できる。

原作があるそうで、その質がいいんだろうと思う。小説の雰囲気を、そのまま映像化したのではと思える。作品の中でも出てきたが、ある球団が移転したことのショックが、この作品のヒントになったのかなと想像する。たぶん、町の住人にとって球団の移転は、心に傷を残す大きな出来事になるのだろう。日本人でもそうだが、アメリカの人達の野球に対する感情は私達とは歴史が違うはずで、誇りや伝統に直接かかわるものがあるのではないかと感じる。球団の存在は、文化になっているはず。

ストーリーは、おとぎ話に近い内容ではあると言えるが、「子供だましだ!」と嫌な感覚が生じないように、SFか推理もののような謎めいた演出になっているようだ。謎を解く話の中で、誰もが感じるような懐かしい記憶や親子の無理解、そして野球への愛情が織り込まれ、美しい話に仕上がっている。ラストで盛り上がるように、余韻が残るように、上手い流れが作られていることに感心する。途中で選手達が畑に消えていくシーンがあるが、畑のトウモロコシが揺れて人が消えていく効果が自然で、これが不思議な雰囲気をかもしだしている。CG技術者のアイディアだろうか?よく撮ったなと感心する。

主人公のケビン・コスナーは「さよならゲーム」でも野球選手を演じていた。当時の大スターだった。フォームを見る限りプレーの経験はあまりなさそう。でも声や表情が主人公にぴったりで、この映画は彼の最高傑作ではないかと思う。脇役達は人により良かったり悪かったりのような気もするが、雰囲気の良い俳優を集めていると感じる。音楽も美しい。

この作品を見るときは、落ち着いて観れる時でないとダメだろう。ワクワクするタイプの作品ではない上に、特にこの作品は静かでゆっくりした鑑賞が要求される個性があると思う。スリルのある映画が好きな人は、この作品ではかなり退屈してしまう。もし、感性豊かな子がいて、その子供が感動すれば、親子でキャッチボールでもしようかという気持ちが湧いてくるかも知れない。したがって、野球日和の前日に見るのが最高かも知れない。そう感じるのは、劇場主が子供の頃にキャッチボールをしていたからだろう。

キャッチボールは運動神経だけじゃなく、心にも何か残していたと感じる。(2017.05.28改編)

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