モンスターズ/地球外生命体(2010)
- 子供用ではない -
メキシコに地球外からのモンスターが出現し、危険地帯が軍によって設定される。社長令嬢と、彼女を護送する役目を担ったカメラマンの旅を描いた作品。
間違いなく相当な傑作。予算が非常に安かったらしいが、そんな印象はほとんど受けないほどの演出の腕を感じた。
戦闘機が飛ぶシーンは、たぶんニカラグアなど南米で実際に町の上を戦闘機が飛び交っている場所を背景にしただけだろう。映画のために戦闘ヘリをチャーターするのが普通のハリウッドスタイルとは全く違った方法が採られたに違いない。きっと少年時代から映画を作ってきたような人物が、この作品を作ったんだろう。
それにしても、日常であのように街が破壊され、戦車がそこらに破棄されたまま、戦闘機は頭上を飛び交っている国とは、今の日本では考えられない、あきれた状態である。本物の凄さがあった。
監督はギャレス・エドワースという人らしい。本人が脚本も書いたようだが、日本語のセリフはやや表現内容に何かが足りないような印象を受けたものの、間がゆっくりした点や、ドキュメンタリー風の編集が緊迫感につながって、なかなか味のある雰囲気を出していた。とにかくセンスが良い。
親子の感情、恋人との仲違い、ラブ・ストーリーなどの要素がうまく盛り込まれていて感心する。
ロードムービーとしても王道に近い。色んなエピソードが主人公達の心の結びつきに影響していくことが丹念に描かれていたと思う。やみ雲に怪物が襲ってくるだけでは飽きてしまう。
怪物の出し方も良かった。あんなでかい怪物がいたら、昼間にさっさと爆撃されてたちまち退治されそうなものだから、荒唐無稽な話だと解ってはいるが、暗い場面でのっそり動くモンスターがかすかに見えると、何か神秘的な感じさえ受けてしまう。
モンスターは、だからもっと小さくて良かったかも知れない。動きが素早く、簡単に銃撃できないので、はびこってしまう。隠れるのが上手い。繁殖力がある。そのようなキャラクターの面での検討は足りなかったかもしれない。
現地の人として登場する人達は、驚いたことにほとんどが素人だったらしい。とてもそうとは思えないほどの芸達者ぶり。エイリアン達を壁画に描いている点は、ちょうど「第9地区」などでリアルさを演出していた手法だったようだが、ここでも有効。
しかし、この作品はたぶん子供にはそれほど受けないだろう。やはり子供は解りやすい怪物の実際の映像や、激しい爆撃、空中戦などを欲する。通好みといえる地味な映画は、たぶん喝采をあびるのは難しい。興行的に成功するためには、少し予算をかけてCGを使うべき原案だったのかもしれない。
その代わり、大人の観客には受けるはず。
この作品の監督の今後に期待したいが、このセンスはしかし、応用が可能だろうか?この作品で使ったアイディアは、作品を量産する場合には使えない。スピルバーグのような立場になるためには、別なアイディアと、やはりCGスタジオの助けが必要ではないかと思う。








