映画評

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2017年8月24日

エル・ドラド(1966)

Paramount

- Paramount -

衛星放送で鑑賞。ジョン・ウェイン主演の活劇映画。ストーリーはかなり複雑だったが、演技は古典的な型にはまった感じで、日本の時代劇を見るような安心感が感じられた。

変わった流れだと感じた点は、複雑すぎる展開。ジョン・ウェインが演じた主人公は勇敢であり、大活躍もするが、途中で待ち伏せを喰らって銃撃されてしまい、最後まで敵を倒しまくるほどの活躍はできていない。仲間の力を借りて、やっと戦ったという具合だ。リアルな路線と言えば、そうかも知れない。

単純なヒーロー映画では受けないという認識があって、ストーリーを複雑に、主人公にも弱さが少しあるべきという設定になったのかも知れない。あるいは、弱点が生じたことで勝負が不利になり、緊迫感が増すという計算が働いたのかも知れない。

他の中心人物も、その傾向はあった。投げナイフは得意だが銃は苦手という若い仲間。アル中になっている友人の保安官もそうだったし、特に保安官は直ぐに撃たれて足を引きずっていたから、本当は敵側のほうが勝たないとおかしい気もする。

孤高のガンマンが荒野で戦う叙情性は感じられなかった。女の友人はいたが、かってのように寂しく耐える女性ではなく、さっさと愛想をつかして去って行く怖い女で、より乾いた人間像になっていた。60年代は、もう叙情性が通用しない時代だったのか?

こんな作品、はたして興業的に成功したのだろうか?観客が喜びそうな特徴に満ちているとは思えなかったが・・・

やはり、古めかしいスタイルと言われようと、ヒーローは最後まで敵を倒しまくり、敵は途中では優勢でも最後には主人公にやられて、美女が主人公に抱きつき、万事がめでたしとなるほうが、後味が良いのではないか?

この作品、画質や音質は非常に優れていたので、古い作品だが鑑賞に耐えうると思う。ただし、今の若い観客に受けるような気はしない。凄いアクションがあるわけではないし、ジョン・ウェインの個性は、やはり今風ではない。米国南部の田舎のほうなら今でも一定の評価、安心感のような好印象を得ることもあるかも知れないが、都会では無理ではないか?

日本人には、さらに魅力が分かりにくいと思う。待ち伏せられてライフルで撃たれたら、そこで主人公は終わりの可能性が高いし、そもそも待ち伏せは卑怯な手段には違いなく、戦い方として恰好良いものでもない。その感覚の違いも、結構大きいように思う。

 

 

2017年8月21日

ダーティ・グランパ(2016)

Dirty_grandpa

- Lions Gate -

妻を亡くした祖父を思いやって孫がいっしょに旅に出た・・・・が、この祖父はとんでもない人物で、孫は振り回されてしまう。DVDで鑑賞。

「ウィー・アー・ユア・フレンズ」で久しぶりに観たザック・エフロン君が気になって、鑑賞する気になった。この作品は、おそらく熊本市では公開されていないと思う。タイトルを見た記憶がない。そもそも劇場公開して良い内容か、ちょっと疑問のハチャメチャ映画ではあった。本国でもR指定がついていたのではないか?ただし、暴れぶりは酷くても、内容には真面目な部分もあった。

主役のエフロン君が覚醒剤で騒ぎを起こすシーンが非常におかしい。覚醒剤を推奨しているかのような酷い描き方だとは思う。「ハングオーバー!」シリーズもそうだったが、ハリウッド映画は、麻薬類の取り扱いに関して寛容すぎる気がする。依存性、副作用に関して何も問題ないと言えるはずはないので、描き方には注意がいるだろう。

その関係で、この作品は子供には全く不向き。恋人と観る分には、あまり悪影響はないように思うが、勧めた側の人格を疑われても仕方ないかも知れない。相手を選ぶタイプの作品のような気がする。

祖父役のロバート・デ・ニーロは、乱闘できそうな動きではなかった。もともとアクションスターではない。したがって、他の俳優のほうが、適役だったかも知れない。肉体派で殴り合いに強そうな俳優か、あるいはカンフーアクションができそうな細身の俳優でも良い。

劇場主は祖父、祖母の記憶があまりない。母方の祖父はたまに遊びに行くこともあったが、入院していたりして、いっしょに連れだってどこかに行くことはできなかった。会話の内容もあまり覚えていない。もし、いっしょに旅行したりできていたら、心の結びつきは随分違ったものになったと思う。

病室でサボテンを眺めていたので、宮崎市のサボテン公園に修学旅行に行った時は、一番小さな品だったが、お土産に買って帰った。差し出した時、大喜びじゃなかったので少し残念に思った記憶があるが、「一番安いので気に障ったのかな?もう一段大きな品が良かったかも。」と、その時は反省した。でも生まれついての貧乏性だから、安物を買うのは仕方ないのである。

劇場主の子供達には、祖父や祖母と旅行する機会を充分に持たせることができた。かなり無理はしているが、自分が祖父母との思い出が少ないことが気になって、なるべく思い出を作ってもらいたいと考える。でも、この作品のように、それで彼らの生き方が変わることは滅多にないと思う。どう影響するのかは分からない・・・・

 

2017年8月18日

後妻業の女(2016)

Gosaigyonoonna

- toho -

裕福な老人を餌食にして遺産を得る後妻と、彼女と連携する結婚相談所長が、遺族や探偵などの追及に遭いつつ苦闘する話。DVDで鑑賞。

非常に出来の良い、まとまりのある作品だった。起承転結の流れが絵に描いたように明確、関わる人々のキャラクターもはっきりしていて、上手くできた話だなあと感心した。最初から、安心して楽しめそうな予感が感じられた。でも逆に言うと、何が起こるか分からないようなオリジナリティにあふれるストーリーではないのかも知れない。

互いに騙そう、暴露しよう、金をせしめようと苦闘する姿がおかしい。大阪弁は有効に働いていた。標準語でやっていたら、人情に欠ける話になってしまっただろう。原作は読んではいないのだが、おそらく良い雰囲気とブラック・ユーモアが漂う話だったのではないだろうか?

子供には向かない作品。教育上はよろしくない。でも、反面教師としての意味なら、これは優れた作品だ。優しい言葉で寄ってくる人物の、裏に隠れた怖い意図を推測させる教育的効果が、もしかするとあるのかも知れない。恋人と、この作品を観て良いかどうか、それは難しい問題。そのカップルの事情によるだろう。

登場人物のほとんどは善人ではなかった。でも、各々が魅力に満ちており、描き方も演じ方も好感を保てるように上手く考えていたと思った。魅力ある悪人は、善人よりも印象に残る。それはテレビでも小説でもそうだ。この作品は、そんな人物が多数いたので、人物の魅力だけで作品が成り立っていた。

ヒロインの大竹しのぶは、劇場主の感覚ではお色気たっぷりの女優ではないのだが、どうだろうか?本来なら、誰でも色気でだましそうなグラマー女優のほうが、説得力があったのではないか?代役として具体的に誰が良いか考えてみると、たしかにあまり思い当たらないのだが・・・・ だが、色気部分を省略して、甘えた声色とドスを効かせる時の演じ分けなどをみると、大竹嬢は本当に上手い役者だなと感心する。

相棒といえる存在の豊川悦司も、怪しいことを生業とする玄人の雰囲気が漂って素晴らしかった。以前より太って、いやらしい怪しさが目立つようになったので、この役には非常に合っていた。ただし、他の俳優でもっとキャラクターが合致する人がいたかも知れない。特徴のある役だから、比較的演じやすいかも知れない。

両者とも、適度に抑えた表情だと感じた。強烈な個性を表現しようと派手な演技をしてしまうと、人情喜劇から逸脱して、全くのドタバタ劇になってしまう。この作品の設定を考えると、適度に抜いた脱力も必要だったように思う。名演を目指してはいけなかったのだ。

後妻業・・・・身近には見聞きしたことがない。よほどな才能がないと、後妻の意図を察知され、家族から先に手を打たれてしまうし、相手もだまし通せないことが多いと思う。いっしょに暮らしていて、愛情を表現し続けるのは大変なことだ。

劇中でも語れていたように、愛情があるかのように振る舞い続け、老人を満足させたなら、それは確かに何らかの意味がある。本物の愛情がなくとも、義務感の強い女性は献身的に働けるから、本物の愛情と実質的には変わらない。殺人や窃盗、詐欺などの行為をともなわないなら、後妻業は社会貢献になるのかも知れない。

 

 

2017年8月15日

ザ・コンサルタント(2016)

The_accountant_2

- Warner Bros. -

会計事務所を経営する主人公は、裏の仕事も持っていた。彼の秘密を探る財務局、彼を葬ろうとする集団が襲ってくる・・・・

・・・・DVDで鑑賞。主人公の特異なキャラクターが生きた作品だった。仕事や戦いの合間に、彼の過去の出来事、成長を解説するエピソードが何度か挿入されており、主人公の境遇が分かりやすく解説されていた。その説明が的確だったので、主人公に同情し、共感しやすいと感じた。

また、主人公が監査する会社との銃撃戦、主人公の正体を探る捜査官との駆け引き、特に捜査官が苦労して彼の素性を割り出していくサスペンス的な描き方などが平行して描かれており、かなり奥行きのある構成。それらのまとめ方も素晴らしかった。銃撃戦がないと盛り上がらなかっただろう。

この作品は情け容赦ない殺人のシーンが何度もある。小さな子供には向かない作品。暴力を肯定している点に問題がないなら、家族での鑑賞も可能と思うが、ファミリー向けの映画とは言えない。特に恋人に見せたいと感じる内容だとも感じなかった。そういった理由でか、ビデオ屋さんでの人気は、あまりなかったようだ。この作品は独特だから、観客を選ぶ。もっとカーアクションが派手な映画のほうが、一般的には好まれるのかも知れない。

主演のベン・アフレックが素晴らしかった。もともと表情に乏しい俳優と感じていたが、この役の場合は、それが好都合だった。過剰に異常ぶりを表現してないところが素晴らしく、適切な表現のセンスがある。障害者を演じるときは、障害を隠そうと努力している様子を演じたほうが良いのが鉄則だ。

主人公の障害が大きなポイントになっていた。障害に関しては否定的な描き方をしていなかったと思うのだが、患者団体がどのように思ったのかは気になった。障害者でも、能力を生かして社会に適応して欲しいものだ。この作品は、その考え方を訴える力が感じられた。

原題のアカウンタントは、税理士のことだそうだ。会計をする仕事にはたくさんの種類があるようで、おそらく主人公は日本の場合は公認会計士が担当すべき監査業務を仕事としているのではないか?米国と日本とでは、また資格が違うのかも知れない。

劇場主は個人経営者だが、会計をやっていて自分が何を計算しているのか分からなくなることが多い。これが大企業になると、会計はいっそう複雑なものになり、一人の人間の能力を超えた処理能力が必要になるはず。不正経理された場合、それを見抜くのはさらに能力を要するだろう。監査法人の面々が、手分けしてやるべき作業だろう。

(不正経理に関連して)

東芝は分割して売却され、本体は何を残すのか知らないが、業務を限定して経理されるらしい。寂しい気はするが、どんな会社でも事業の全てが好調を維持できるはずはないし、大赤字を垂れ流すのは、たぶん違法行為に相当するのだろう。仕方ない。ただ、そのへんにからむ法の規定は知らない。

会計操作によって脱税をやったら、そりゃあ違法だろうと分かる。逆に黒字と偽って税金を払った場合、納税に関しては問題ない気もする。ただし、株主や関連企業、職員などに嘘をついた社会的罪には相当する。やがては企業破綻の原因になるから・・・・といった意味で、関係者の権利侵害の罪にもなりうる。でも、まだ破綻したわけじゃない段階は、いわば破綻未遂の罪に相当するのだろうか?商法は分かりにくい。

黒字と偽っておかないと、株価が下がって資金調達が難しくなる。だから、不正経理は一種の株価操作、市場関係者への背徳、将来の損害に誘導した詐欺、そんなものには相当するだろう。それを許せば、投資家は安心して投資できないから、市場が活発に行かず、景気が低迷する。よって、法律で管理する必要はある。そんな理屈だろうか?

おそらく様々な法律に則ることを前提に法人の存在が認められていて、そのおかげで企業減税の対象になり、具体的には知らないが、その他の優遇も得ているから、法に従えと決まっているのだろうか?そのうえで、なぜ不正会計をやったのか?また、やれたのか?そこらへんが不可解。罰則が軽いのか?

自分の人生を賭けるまでの重大な犯罪にならないという確信があったのかも知れない。数年の禁固刑か罰金で済み、その後は関連会社に雇用され、悠々自適の生活が保障されるさ・・・・そんな裏付けがあったということか?あるいは、十年間バレなければ、時効が成立して自分は逃げられる・・・そんな計算もできたのか?もしそうなら、罰則の軽さに問題があるということになるのかも。

そして改めて思ったが、大会社に採用され、選ばれて首脳部に入った連中は、おそらく優秀で人物評価も高く、敬意を集めていたに違いない。そんな彼らがどうして・・・・選挙でもそうだ。広く大勢の有権者の支持を集め、選挙で選ばれた人間は、人格も能力も、意志の強さも兼ね備えた人間のはずだ。それがどうして隠匿、忖度三昧に走るのか?出世は、人を評価する基準にはならないようだ。ただのクソッタレでも、運が良ければ選ばれて出世していくものらしい。選ぶ際のルール作りが足りていないのだろうと思う。

 

2017年8月12日

大いなる眠り(1978)

The_big_sleepua_2

- United Artists -

ツタヤのDVDで、なぜか目立つところに置かれていた作品。新たにビデオ化されたのか、権利関係が変わったのか、理由は分からない。

ツタヤは、「今月はこの作品を売り出すぞう!」といったキャンペーンをやっているのかも知れない。おそらく仕入れを定期的にやって、見逃されていた人気作品を再度売り込みたいのでは?

観ていて、これは「三つ数えろ」のリメイク版だったと気づいた。リメイク版があることは知っていたが、ロバート・ミッチャムが主演した作品があったことを忘れていた。しかし、なぜリメイクしようと思ったのか?ミッチャムの希望か?

この作品は、舞台がイギリスになっていた。舞台が異なった理由はよく知らないが、やはりオリジナル版との違いを出すためだろうか?でも将軍が、イギリスでは優雅に暮らせるのか?それは設定として無理があるような気もした。もともとの大金持ちが将軍までやれば別だろうが、普通はそこまではいかないのでは?

ボガード版は理解に苦しむ作品だったが、リメイク版でも難解さは相変わらず。ストーリーがかなり複雑で、納得に苦しむ部分もある。難解なために、謎解きの魅力はあると思うものの・・・

女優さん達は今風だった。ヌード写真を撮られる役は、キャンディ・クラークという方が演じていて、70年代の女優の雰囲気の衣装、ヘヤスタイルだった。時代設定として、70年代を考えていたのだろうか?

ポルノ女優のようなキャラクターは、作品の中では重要だと思う。ヌードを見せるサービスで、主人公が困った様子でも見せたら面白くなるし、男性客を惹き付けるためには、ヌードを宣伝に一瞬でも使わないといけない。少し出し惜しみしていなかったろうか?

もう一人のサラ・マイルズ嬢の魅力はよく分からなかった。彼女は絶世の美女タイプの女優ではなく、悪女の雰囲気が漂うローレン・バコールタイプでもない。個人的には、演技力はそこそこでも良いから、色気たっぷりに主人公に迫り、色仕掛けで悪さをするような女優のほうが良くなかったろうかと思った。

オリヴァー・リードやエドワード・フォックスといった懐かしい役者達が出演していた。イギリスの会社が中心となって作られたかららしい。だからといって舞台をイギリスにしないといけないのだろうか?

「三つ数えろ」とは微妙にストーリーが違った。ラストでついつい銃の乱射シーンがあるものと期待してしまったのだが、英国流に終わったようだった。拍子抜けに感じた。

 

 

2017年8月 9日

インディペンデンス・デイ:リサージェンス(2016)

Independencedayresurgence

- 20C.Fox -

先日、前作(1996版)がテレビ放映されていた。まだ見たことがなかった末っ子は熱心に鑑賞していたが、改めて感じたのが、とても盛り上がる作品だったこと。テレビ放映も毎年やっている気がする。魅力があったからだろう。

それで気になりだして、無視していた本作を鑑賞する気になった次第である。DVDで鑑賞。劇場公開していたのかどうか、記憶にない。

前作ではウィル・スミスが最も格好良かった。若々しくて運動神経が良さそうで、冒険精神や批判精神を感じさせて、その後のスター街道につながったと思う。今回はギャラが折り合わなかったのか、彼は死んだことになっていたという驚くべき設定で、あっさり排除は済まされていた。英雄は、ギャラが安くないといけないのか?

そうなると、主役のリアム・ヘムズワースのギャラはまだまだ低いということになる。彼はウィル・スミスよりずっと良い男だと思えるが、まだまだネームバリューでは負けているし、キャラクター的にもふてぶてしさ、ユーモアが足りていない。この作品でも非常に魅力的なヒーローに成りきれていなかったように思った。

resurgenceという単語は知らなかった。口語として普通に使われる言葉だろうか?再上昇、復興といった意味らしいが、戦いが再び巻き起こるという意味では、少し言葉の感覚が合わない。お祭りを復活させ再開するのとは意味合いが違うはずで、ニュアンスがよく分からない。

このシリーズの良い点のひとつは、活躍するヒーロー達が、ずるかったり、だらしなかったり、様々な欠点を持っていることだろう。圧倒的なエリートではなく、個性的すぎるはみ出し者が実力を発揮するから、観客が共感しやすいようだ。自分達も何か活躍できるのでは?そんな気分にさせてくれる。特に第一作では、それが顕著だった。

CG技術は、1996年版よりまたさらに進んだように感じた。宇宙船の大きさは、前作でも充分すぎるくらいの規模だったが、今回はまさに地球規模の大きさで、あれでは宇宙船の艦内を移動するのに新幹線が必要になり、非合理的だ。大きさにはこだわらず、形や機能面で斬新さを出すべきではなかったか?

アリや蜂のように女王が存在し、兵隊は全てその意志に従っているというのも良いアイディアだった。また、敵の攻撃方法なども、無理がないように設定を引き継ぎ、もしかすると次回作につなげようというほどの一貫性を感じた。大ヒットした前作から、本作を作らないのは確かにもったいない話だ。次ができるかどうかは分からないが、新しい味方と共闘する派手な作品ができるかも知れない。

でも、その場合は荒唐無稽さもアップするだろう。今の時点で、あまり観たいとは思わない。でも、エメリッヒ監督は不思議な能力を持っているから、凡作のはずの企画を傑作に変えるかも知れない。

 

 

2017年8月 6日

さらば愛しき女よ(1975)

Ua

- U.A. -

ロバート・ミッチャム主演のハードボイルド映画。何度か映画化されていたそうで、リメイク作品。DVDの棚の中で特集してあったので鑑賞。

雰囲気は悪くない映画だった。今の映画のように気味の悪い殺しのシーンが繰り返されたり、カンフーアクションの応酬で観客を楽しませる趣向ではない。その点で古いと言えばそうなるが、落ち着いているといえばそうとも言える。いにしえのハードボイルド映画も、たまには悪くないと思う。

ただし普通の場合は、この作品は若い観客には受けないだろう。退屈するはずだ。子供にも同様。昔の作品を興味を持って観るという特殊な状況以外は、おおむね年代を選ぶ作品と思う。ディマジオの活躍を話題にしても、今の観客には分からない。カーアクションがないと、映画ではないと思っている連中だっているかも知れない。

主演のロバート・ミッチャムは、タフガイと情けない男を演じ分けられる俳優。「帰らざる河」などはタフガイ、「エル・ドラド」などは酔っ払い。いずれもサマになるから、役者として使うには便利だが、イメージとしては観客の混乱を生みやすい欠点にもなったはず。超一流のスターと言えないのは、そのへんに理由があるのかも知れない。

この作品では、眠たげで退屈そうな目をしたタフガイを演じていた。タフガイは、目を細めるものと決まっているようだ。ブルース・ウィリスだってそうだし。でも、一般人が真似るとおかしなことになる。眠いのか?と、怒られるだけだろう。

病院の医局でも微妙に目を細める連中がいた。医局でタフガイを気取ってどうするつもりかは知らないが、虚勢を張っていないと医者の世界でもなめられてしまうからだろうか?

どんな会社でも出世競争、名誉をかけての競争はある。競争においては、タフガイ同士の虚勢の張り合いと同じだろう。冷静さを失って目を見開くのは、タフでないことを意味し、最初から立場が悪くなる。それを経験的に怖れるから、目を細めるのだろうか?勝手な解釈だが・・・・

解釈はどうあれ、目を細めることを厭わない連中は多いので、その中で目を細めない人間は、標的にされやすくなる。医局内で目を細め合うより、病院全体の競争に勝とうよ、内部での競争に熱中するのは恥ずかしいよ・・・・といったクールな意見には、つばをかけられるのがオチだ。

タフガイは、今でも生き残っているのである。

 

 

2017年8月 3日

パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊(2017)

Disney

- Disney -

ジャック船長の仲間だったターナーの子供が、ポセイドンの槍を使って父の呪いを解こうとする。そこに幽霊船が絡んで、ジャック達が苦闘する物語。劇場で鑑賞。このシリーズなら面白さは期待できると判断し、ビデオ化されるのを待つことはないと考えた、期待通りだった。

シリーズも長期化してきて、かってのような新鮮さは感じられなくなっている。登場人物達も、それぞれに年齢が上がり、かっては娘だったキーラ・ナイトレイも、もはやオバサンになっている。ヒロインは無理。

そこで今回は新たなヒロイン、スコデラリオ嬢が登場していた。かなり野性的で勇敢そうな風貌の女優で、この話にはうってつけだった。ヒーロー役には、エジプトの話でも主人公を演じていた若い役者のブレントン・スウェイツ君が選ばれ、こちらも適度に勇敢で適度に笑える。世代交代に向けた計画が進んでいるのかも知れない。

主人公のジャック船長は、もともとメーキャップが濃かったので、ジョニー・デップの年齢が上がっても問題ないようだ。彼は得をしている。次回作もすでに進行中らしいが、問題なく演じることができるだろう。

今作も実によくできていた。幽霊船の怖さの表現、亡霊達の姿を表現したCGも実に素晴らしく、立体感が上手く表現されていて感心した。また、ジャックが絞首刑になりそうでならない微妙な逃れ方、船の間を飛び移りながら敵から逃れる戦いぶりも、いつもながら退屈させないよう工夫されている。

プロットも実によく考えられていると、いまさらながら感心する。親子の物語、敵の恨み、冒険に向かわざるを得ない流れなど、観客が納得しやすいように設定されている。

今回気になったのは、魔法使い役としてスキンヘッドの囚人が急に登場したり、かってのように一貫して敵として存在する提督のような存在がいなかったこと。また、前作でペネロペ・クルス嬢が一回だけ共演したが、彼女のようなスターが使い捨てになるのはどうか?といった点。

また、魔法の元になる槍がなくなったら、今後は幽霊船などが登場できないのではないか?そうなるとシリーズが成立しないのでは?といった点。まあ、気にする必要もないだろうけど。きっと観客が納得できる新たな設定がなされるだろう。

 

2017年7月31日

頭上の敵機(1949)

20cfox

- 20C.Fox -

ドイツの軍需工場を攻撃している米軍部隊。失敗が続くため、あらたに隊長に任命された主人公は、作戦成功を目指すが・・・・

・・・異色の戦争映画。テーマは作戦の成功ではなく、その代償のほうである。作品の存在は知っていたが、その特徴は知らなかった。時代を考えると非常に珍しいのじゃないかと思う。赤狩りの前に企画されたから間に合っただけで、少し遅れていたら大変な迫害を受けたかも知れない。奇跡的なタイミングの作品かも知れないと思った。

終戦直後にアカデミー賞の候補にあがった作品は、多くが非常に理想主義に燃えている。1950年頃からは映画界の内幕ものなど、戦争や政治とは異なるテーマに作品の趣向が集まっている。おそらく、赤狩りで製作中止にでもなったら資金が吹っ飛んでしまうから、政治がらみの作品に予算が集まりにくかったのではなかろうか?

この作品、主演はグレゴリー・ペックで、最後のほうまで役柄に合っていないような気がしたが、ラスト近くで最後の攻撃に向かおうとして調子を壊した後の表情を見たら、非常にリアルな病人ぶりで、キャスティングされた意味が分かったように感じた。彼の良さは、苦しい状況に陥った時の表情だったのだと、改めて気づかされた。

ある意味で、人間の弱さ、兵士の厳しい環境が描かれた作品だから、厭戦を主題にしているとも思われる。戦後でないと評価されにくい内容だ。興業的には、かなり危険な種類の作品になると思う。

原題はTwelve O'Clock Highで、何のことか分からなかったが、飛行機に対して12時の方向、上方から敵機が攻めてくるという、操縦士達の連絡に使われる言い方のようだ。確かに「何時の方向・・・・」と、よく映画でも兵士同士の会話を聞く、あの言い方だった。

兵隊の中には、一定の割合で精神的に破綻してしまう人がいると聞く。単に勇気がない人がそうなるとは限らず、多大な期待を背負ったり、過剰な仕事、繰り返される緊張で精神に障害が来るらしいので、要は環境と責任が生む病態だろう。強い弱いというより、鋭い人はやられ、鈍い人は影響されないといったものではないか?

兵士ではなくとも、収監されて連日の取り調べを受けた人は、人の心を砕かれるような体験だったと語ることがある。人権を制限され、自由を失うだけで、人は容易に意志の力をそがれるものだ。精神的に強そうな人でも、それは立場によるもので、どのような状況下でも強い態度をとり続けるのは難しい。

 

2017年7月28日

ペット(2016)

Universal

- The Secret Life of pets -

ニューヨークでペットとして飼われていた犬のマックスは、飼い主が新たに飼い出した犬デュークによって町に放り出されてしまう・・・・

・・・DVDで鑑賞。この作品はピクサー映画ではなく、イルミネーション・エンターテインメントというアニメ制作会社が作っている。両社の技術的な優劣は分からないが、ピクサー作品ほど金をかけていないような印象。画像は美しいのだが、ファンタジーチックで漫画の延長のようだった。

この作品は完全に子供向けと思われる。ギャグは古いし、映像の質から考えても、大人を感動させることは目標としておらず、せいぜい子供を連れた家族が退屈しないかな?程度の軽い笑いを狙った印象。恋人といっしょに観ても仕方ないような作品。

画質で勝負するためには、おそらく人員を多数そろえて、高額の予算をかける必要がある。もしかすると、画像処理方法についても様々な特許があって、高度な画像を作るには、料金を多量に払う必要があるのかも知れない。しかし逆に低予算で子供限定の作品を狙えば、収益率は上がるだろう。そこを考えた企画なのかも知れない。個性やストーリーで勝負といった狙いか?

仲間と共に戦う話で後味が良い。虐待されたペット達が登場するのだが、皆たいていは表情が明るくて、暗い鬱屈した恨み辛みといった要素がほとんどない。ディズニータッチの作品。ユニバーサル映画が子供映画の市場を確保するために、子会社を使って企画しているのだろう。子供には向くと思う。

でも、キャラクタ-が非常に際立ち、強く印象に残る個性的な動物があったかと考えても、あんまり印象の強い動物はいなかった。主人公と、活躍する小型犬、敵側の残忍なウサギくらいか?彼らにしても、過去の作品で観たことがありそうな感じがする個性だった。

個性をどのように際立たせるか、その点に関しては改善の余地があったと思う。子供映画であったも、真に優れた企画は、何かを感じ取れる子は必ずいる。幼稚園でも人間関係があり、そこで経験したことがあるような事例が作品で出ていれば、「ああ、こんなヤツいるよねえ。」と、追体験できる。そんな事例を集めるだけでも面白くなると思う。

 

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